(前回の続き)


クソッタレは新宿に着くと、モモ子が来るのを待った。
しかし、モモ子は約束の時間を過ぎても現れなかったのだ。


クソッタレは「このまま連絡が無かったら、終電で帰宅しよう」と考えていた。
しかし、そんな甘い考えは余裕で打ち砕かれ、モモ子から連絡が入る。


「今電車に乗ったから、あとちょっとで新宿に着く」だそうだ。
クソッタレもここまで来たら、もう引き返せない。
クソッタレは人生を諦めて、モモ子を待った。


モモ子が駅から出てきて、クソッタレを見つけるなり、ダッシュしてきた。
「遅れてごめんね」と、意外と普通の子である。


そして、歩きながら「どこ行こうか〜」などと話していると、モモ子がドンキに行きたいと言った。
小心者のクソッタレは「え、これって、高価な貴金属をオネダリされる展開じゃ…」と思った。


クソッタレはビビリながらも、ドンキへと向かった。


しかしながら、モモ子は実際にドンキに着くと、やっすいピアスを自分で買っていた。
クソッタレは疑った自分に失望すると共に、「モモ子=普通の子」の方程式を作り上げた。


その後、クソッタレがチョイスした、個室の居酒屋に移動。
時間も時間なので、予約なんか無くても余裕で入れた。


そこからお店の閉店時間である午前4時まで、タイマントーク
ポテンシャルの無いクソッタレだが、奇跡的に話題は途切れなかった。


しかし、朝まで場所も移動しなかったこの時点で、クソッタレは自分の「負け」を悟った…。
だが、クソッタレは、勝負前から負ける気がしていたのも事実。
クソッタレとは、実に不甲斐無い奴なのである。


…。


外も明るくなり始めた朝の4時。
店を出るとモモ子は「公園を散歩したい」と言う。


「わけがわからねえ」
クソッタレの頭の中はそれだけだった。


「公園を散歩する元気があるなら、その元気を違うとこに使え」
クソッタレがそう思ったのも、無理はない。


おまけにモモ子は、アグレッシブにこう言い放った。
「今度会うときは、アタシのチョイスしたお店行こうね」


クソッタレは内心「え、今度もあるの、、」などと思いつつも、
「じゃ、今度はまかせるよ」的な、ふざけた回答で誤魔化す。
クソッタレもまた、NOと言えない日本人である。


朝になっている時点で疲労もピーク、そしてこの勝負にも「勝ち」は無い。
クソッタレは今後の展開が全く読めないまま、仕方なく西新宿の公園へと向かうのだった…。


…。


(つづく)